毎年欠かさず彼岸や故人の忌日などにお墓に参って供養することが、永代供養の持つ本来の意味です。しかし現代では、お墓参りに行けない人に代わって、寺院や霊園が永年にわたり責任をもって管理・供養することを、永代供養と言うようになりました。少子高齢化に伴う継承者の減少、子どもに供養の面倒を掛けたくないという配慮、ライフスタイルの多様化に伴う葬祭への考え方の違いなどがその背景に垣間見えますが、いずれのケースにも、将来墓を守る人がいなくなったとしても安心して後事を任せたいという心理が働いているようです。この永代供養の考え方は、特に都会で顕著に浸透しており、中でも東京都では永代供養の様々な形式が見られます。

たとえば、屋外型では合祀墓、共有墓、樹木葬などがその代表的なものです。合祀墓とは、遺骨を骨壺から出して他の人の遺骨と合わせて一カ所に祀る方法です。共有墓は、骨壺のまま一つの納骨室を複数人で共有します。さらに樹木葬は、自然の樹木のそばに穴を掘って遺骨を埋葬したり、シンボルとなる樹木のそばに納骨室をつくってそこに骨壺を埋葬したりする方法をさすものです。

これら屋外型の一方で屋内型もあります。納骨堂といわれる葬祭形式がこれにあたります。ビルや建物の中に骨壺の収納スペースを設けるもので、駅のコインロッカーのように区画を分けるロッカー型や、立体駐車場のコンベアのように参拝口に厨子を呼び寄せる自動搬送型などがその代表的なタイプです。両者の違いについては、東京都の中でも土地にまだ余裕のある郊外では屋外型の供養方法が多くみられ、土地が高騰して入手しにくい東京都内では屋内型の永代供養が支持される傾向にあります。